映画「1917 命をかけた伝令」- 思っていたよりも正統派戦争映画だった
バレンタインデーに公開となった映画「1917 命をかけた伝令」を観てきました。バレンタインデーとはほど遠い、戦争映画です。
2020年アカデミー賞のいくつかの部門でノミネートされていて、公開前からかなり注目度を集めていた映画でした。公開前の情報で話題となっていたのは、映画が最初から最後まで途切れることなく続く「全編ワンカット映像」という、臨場感をより高める撮影方法です。
ただ、ストーリーに関しては情報が少なく、第一次世界大戦中の若いイギリス人兵士2人が、ドイツ軍の罠と知らずに攻撃を開始しようとしている最前線の隊に、攻撃中止の命令の手紙を届けることになった話、程度しか知りませんでした。
戦争映画は好きではありませんが、もしかしてこれは戦争そのものに焦点をあてた映画ではなく、その2人がいろいろな目に遭いながら伝令を届けるという、一種にハラハラ・エンタメ映画なのだろうか、と思ってしまい、観に行くことに。
ところが、やっぱり「1917 命をかけた伝令」は、戦争のおろかさ・虚しさを描いた、正統派の戦争映画でした。
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話はいきなり始まります。若い兵士が上官に呼ばれてすぐ出発、それをずっと目で追っていく感じです。一種の密着ドキュメンタリーのようでした。
こういう撮影方法で作られた映画を観るのは初めてで、カットなしにあっちこっちに大きく振れる映像に、中盤あたりまでは目が慣れることができませんでした。車酔いするタイプの方は、私のようにちょっとクラッとくるかも知れません。
ただ、中盤以降はそのワンカット映像が威力を発揮します。流れるように続く映像はダイナミックなシーンの臨場感をものすごく高めます。またそれに合わせて重く響く音楽がなんだか体の奥にまで届くような感じで、更に自分がその場にいるかのような感覚を覚えました。
気がつけば、すっかり映像のとりこになってしまっていました。
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監督はサム・メンデス。007映画をずっと観ている私にとっては、「スカイフォール」や「スペクター」の監督として馴染みがありますが、アカデミー作品賞を獲った「アメリカン・ビューティー」の監督さんでもあるのですね。
主人公の若い兵隊さんたちは、ジョージ・マッケイとディーン=チャールズ・チャップマン。どちらの俳優さんも私には馴染みがなく、でもそれがかえって映画をリアルに感じさせてくれました。
さっき映画のサイトを見て、コリン・ファースとベネディクト・カンバーバッチが出ていたことを初めて知りました。どこにいたんだ・・?最前線の隊にいた大佐がカンバーバッチだったみたいです。
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戦争映画は避けていますが、今回は久しぶりに観てしまいました。正統派戦争映画は、なんでこんなことしなきゃならないのかな、虚しい・・、と考えさせられるものばかりですが、「1917 命をかけた伝令」も、心からそう思わせてくれる1本です。
ただ、舞台が第一次世界大戦中の1917年と、かなり昔の話で、またヨーロッパでの話なので、映画と自分の心の間に距離を持って、出来事を眺めるような感じで客観的に鑑賞できると思います。