してみたブログ

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映画「リチャード・ジュエル」 - 大事件の犯人と疑われたらどうする?

 

2020年初の映画館での映画観賞は、1月17日に公開された、事実に基づく社会派ドラマ「リチャード・ジュエル」となりました。

 

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監督は、クリント・イーストウッドです。ウィキで調べてみたらイーストウッド監督は1930年生まれ。今年で90才です。監督業だけでなく、最近は久しぶりに俳優業も復活。昨年公開された「運び屋」で、ドラッグの運び屋になってしまった男性を演じていました。このタフさ、さすが元祖アクションスターです。

 

イーストウッド監督の映画は何本も観ていますが、つくりが丁寧な人間ドラマが多く、派手な話ではないのにものすごく引き込まれてしまいます。

 

それだけに、悲劇が起きる映画は観ていてつらくなり&後を引くので、最近はイーストウッド映画を観ていませんでした。

 

今回なぜか「リチャード・ジュエル」を急に観たくなり、久々にイーストウッド映画を観ることに。劇場内はそんなに混んでなく、1人で観に来ている男性が多かったです。

 

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映画の舞台はアメリカのジョージア州のアトランタ。1996年のアトランタ・オリンピックです。会場近くの公園に爆発物が置かれ爆発した大事件でしたが、警備員だったリチャード・ジュエルが爆発物を発見したことで早めに対処ができ、もっと大きな惨事になるはずだった事件を最小限にくい止めることができました。

 

ヒーローとして注目を浴びたジュエルでしたが、FBIで「爆弾犯のプロファイリングに当てはまるじゃないか」となり、証拠もないのに今度は事件の容疑者になってしまいます。

 

困ったリチャード・ジュエルが頼ったのは、かつての職場で知り合った弁護士でした。ジュエルの無実を信じる弁護士:ブライアントはジュエルに寄り添い、戦っていきます。

 

・・といっても、ドラマチックな盛り上げシーンが何度もあるような弁護士ヒーロー映画ではなく、ジュエルというごく普通の人物に焦点をあてた、イーストウッド作品らしい現実的な映画です。

 

融通のきかない独自の生真面目さから人生がうまくいっていないようなジュエルですが、正義感が強く、警官などの法執行機関の仕事に憧れるピュアな男性です。ちょっとおっとり・ぼんやりした人かなと思いきや、FBIの引っ掛けには乗らないという理性もしっかり持っています。

 

見た目や経済力、過去の評判などから、大事件の犯人にされそうになってしまうおそろしさ。自分が同じ立場だったら、もうどうしていいかわかりません。映画はジュエルにぴったりとくっついて進んでいくので、このおそろしさをとても身近に感じます。

 

でも、この映画の軸は、その事実に基づいたサスペンスではなく、法執行機関に憧れ、その仕事に就く人たちと仕事そのものを尊敬するジュエルです。どういう意味なのかは、この映画を観るとわかっていただけると思います。

 

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主人公のリチャード・ジュエルを演じたポール・ウォルター・ハウザーは、まだ日本で馴染みがほとんどない俳優さんですが、脇を固める俳優陣は有名な方たちが揃っています。

 

ジュエルを助ける弁護士:ブライアントを演じるのはサム・ロックウェル。最近では、「スリー・ビルボード」や「バイス」に出ている演技派ですが、個人的には「ギャラクシー・クエスト」に出ていたロックウェルが好きです。

 

ジュエルに寄り添うお母さんは、名優キャシー・ベイツ。最近映画で観なかったので、今の姿を知らず、エンドクレジットで名前が出てきて彼女が演じていたと知りました。アカデミー助演女優賞獲るのでは、言われていますが、納得できる名演です。

 

映画を観ていて、あっ!と思ったのは、FBI側の人間として登場するジョン・ハム。大好きで観ていたアメリカドラマ「マッドメン」の主人公:ドン・ドレイパーを演じた俳優です。

 

映画の最初のころは、この人物は良い人、と思っていたので、ドン・ドレイパーのイメージがすごく強いジョン・ハムは真面目・正義のイメージと合わないなぁ、と感じていたのですが、その後、ぴったりの役だったとわかりました(笑)。

 

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「リチャード・ジュエル」は、ひさしぶりに観たイーストウッド監督の映画でしたが、過去に観た数作と同じく、知らず知らずのうちにストーリーのなかに引き込まれてしまう、やはりイーストウッドらしい作品でした。

それにしても、こんなことってあるのですね。こわい!