樹木希林さんの「一切なりゆき〜樹木希林のことば〜」を読んでみた
昨年9月に亡くなった樹木希林さん。
本屋さんに行くと、樹木希林さんの本が2種類平積みになっていて、どちらもよく売れているようです。
好きな女優さんというか、いて当たり前のような存在の女優さんだったので、本を読むと気分が沈みそうで、立ち読みさえも避けていました。
ところがしばらく前に会った友だちがくれたのがこの「一切なりゆき〜樹木希林のことば〜」でした。包みを開けて(うわっ!)。でも、いま友だちがとても気に入って読んでいる本ということで、プレゼントしてくれたので、ありがたく受取りました。
「一切なりゆき〜樹木希林のことば〜」文春新書
帯には「30万部突破!」と書かれていますが、今はもう倍以上ですね。
この本に関しての予備知識はまったくなかったのですが、樹木希林さんまたは誰かがひとつのの長い話を書いたのではなく、1980年代から2018年までの樹木希林さんのインタビューや対談記事のようなものから抜粋した内容を、1冊の新書にまとめたものでした。
内容は年代順に並べられているものではく、家族のことや仕事のことなど、6つのカテゴリーに分けられて紹介されています。
そして最後には、娘さんの也哉子さんの、喪主代理の挨拶が載っていました。これがまた心に染みます。
まずすごいな、と思ったのは、何十年もの間に答えた/話した内容がまぜこぜで紹介されているのに、そのことに関して違和感がないことです。
若いうちに、こう、と思っていても、年齢を重ねるうちに変わってくることも多いと思います。でもこの本では1980年代の対談内容の次に2016年の対談内容が並んでいても、ちっとも変な感じがしません。
それだけ樹木希林さんは、ベースの部分が変わらない方というか、なにか一貫したものがある方だったのだな、と思えました。
6章あるなかで一番面白かったのは、「家族のこと」の章でした。やっぱり、旦那さんの内田裕也さんとのことについては興味ありますよね(笑)。あと、子供のころの話も面白かったです。
この本のなかで、一番好きなところは、樹木希林さんが内田裕也さんの、純粋で善い内面の奥深いところを知っていて、そこをわかっているからずっと一緒にいた、というところです。
そんな直接的に書かれていませんが、本を読んでいると、そんなことがわかってきます。
「一切なりゆき〜樹木希林のことば〜」は、樹木希林さんは自分のまんま、そのまんまで、ずっと生きてこられたのだな、と、実感できる本でした。すごく独特な感じがするところもありますが、これも一種の「自由に生きる」、ということなのだと思います。
この本を読むと、やっぱり少しさみしくなってしまうだろうな、と思っていたのですが、意外にも大丈夫でした。
それは樹木希林さんが私にとってすっかり過去の方になったからではなく、どういう訳でそう思うのかわかりませんが、本を読んでみて、ひょうひょうとしている樹木希林さんはこちらの世界とあちらの世界にまたがって存在しているように思えたからかと思います。
たぶん、亡くなったおばあさん役で出ていた、家を売るテレビCMの影響もありそうです(笑)。