してみたブログ

買ってみた、使ってみた、食べてみた、などなど、日々の「してみた」について綴ります。

どんでん返しの連続!「スキン・コレクター」by ジェフリー・ディーバー

 

この数年、毎年年末になる文庫本が発売となる、ジェフリー・ディーバーの小説。そのほとんどは、ディーバーの代表作である「リンカーン・ライム」シリーズが文庫化されたものです。

 

ジェフリー・ディーバーはアメリカの犯罪ミステリー作家。読みやすい文章のタッチが特徴の1つです。リンカーン・ライムのシリーズのほかにも長編小説や短編集、またリンカーン・ライム・シリーズからのスピンオフ作品もあります。

 

ジェフリー・ディーバーのどの作品にも共通しているのは、「どんでん返し」。短編は話が短いのでひっくり返す回数は少ないですが、長編小説ではもう、何度も何度もハラハラしながらころがされてしまいます。

 

ジェフリー・ディーバーの小説は、リンカーン・ライム以外のものもほとんど読んでいますが、ほかの小説もおもしろいとは思うものの、大好きで毎年文庫化されるのを楽しみにしているのは、このリンカーン・ライム・シリーズだけです。

 

今では大好きなシリーズですが、以前は全く興味がありませんでした。それは映画の「ボーン・コレクター」のせいです。

 

「ボーン・コレクター」は、リンカーン・ライム・シリーズ第1作目が映画化されたもの。デンゼル・ワシントンが主人公のリンカーン・ライムを演じ、そしてリンカーンの助手的な立場になる警官をアンジェリーナ・ジョリーが演じています。

 

この映画が面白くなかったので、イコール、原作小説もつまらないだろう、と思っていました。

 

ところがある日、リンカーン・ライム・シリーズが大好きな人たちに出会い、勧められて読んでみたら、その面白さにハマってしまいました。以来、毎年文庫が発売になるのを楽しみにしています。

 

リンカーン・ライム・シリーズの舞台はアメリカのニューヨークです。

リンカーン・ライムは科学捜査の天才的人物。黒髪のハンサムな白人です。警察関係者でしたが、捜査中の事故で体がほとんど動かせない状態になってしまった気難しい人物です。介護士のトムの介護を受けながらマンハッタンのタウンハウスで暮らしています。

 

そこに関わってくるのが赤毛の女性警官アメリア・サックス。元モデルの異色警官です。最初は、NY警察のコンサルタントという立場になったものの動くことのできないリンカーンに代って、現場での証拠品集めなど捜査を担当する警察官という、上司(?)と部下のような関係の2人ですが、シリーズが進むにつれて関係が変わってきます。

 

リンカーン・ライム・シリーズは、第1作目の「ボーン・コレクター」から第13作目の「ブラック・スクリーム」までが日本で翻訳されています。そして2017年末に文庫化されたのがシリーズ第11作目の「スキン・コレクター」です。

 

f:id:mubikichi:20190120132009j:plain

 

最近の、巻が何冊かに分かれてる本は、並べてみると1つの絵になっているのがよくありますよね。この上下巻もそうです。

 

f:id:mubikichi:20190120132344j:plain

 

帯がかかっているとなんだかわかりませんが、取ってみると、人の体、ということがわかります。

 

リンカーン・ライム・シリーズは、ほぼ毎回同じようなパターンです。NYで残酷な極悪犯罪が連続発生、リンカーンとアメリア、そして仲間たちが捜査を進めます。そしてラストまでたくさんのどんでん返しが繰り返される、スピーディな展開でハラハラ感いっぱいの、まさにエンターティメント系の犯罪ミステリーです。

 

科学捜査を扱う小説は難しい単語が出てくるものが多いですが、リンカーン・ライム・シリーズは難しい単語は出てきても話自体はわかりやすいので、面白さもあってするすると読み進めることができると思います。

 

シリーズ第11作目で登場するのは、タトゥー彫師と思われる犯罪者。いつもどおり、犯人に襲われる側の人物の目線で書かれている箇所も含まれているので、そういうところを読むのは特にドキドキ感が高まります。

 

あーやっぱりダメだった、あっ大丈夫だった、なんともないと思っていたらひどいことになった、なんだ〜良かった、などなど、こんな感じのアップダウンがずっと続くので、最後の最後まで落ち着くひまがありません。

 

あんまり書くと読んだ時に面白くなくなるので止めておきますが、リンカーン・ライム・シリーズは、「面白い犯罪ミステリーを読んだ!」と、心から思える小説だと思います。

 

おすすめは第1作目の「ボーン・コレクター」から順番に読んでみることです。リンカーンとアメリアの関係がだんだん変わっていく恋愛小説的な面も楽しめますし、リンカーン自身の体や心もシリーズを追うごとに少しづつ変化していきます。

 

また毎回登場する人物や新たに加わる人物など、リンカーンの周囲に登場するキャラクターも個性豊か。個人的には、あらゆる面でとっても頼りになるリンカーンの介護士・トムがお気に入りです。

 

扱う犯罪は残酷なものも多いのですが、チームワークの良さとスピーディな展開がそう思わせるのか、かっこいい海外ドラマシリーズ(それもちょっと昔のドラマ)を観ているような、ワクワク楽しい気分にさせてくれます。

 

お正月からしばらく読んでいた「スキン・コレクター」でしたが、ゆっくり読もうと思っても、面白くてあっという間に読み終えてしまいました。

 

早くも今年の年末が楽しみです。リンカーン・ライム・シリーズの第12作目「スティール・キス」が文庫本化されることを祈ってます!