してみたブログ

買ってみた、使ってみた、食べてみた、などなど、日々の「してみた」について綴ります。

読んでみた - 「北氷洋」By イアン・マグワイア

 

ゆっくりできる年末年始は、本を読むのにぴったりの時期です。毎年この時期は読みたいと思って買っておいた本をのんびりと読んで過ごすことが多いです。

 

まず読んでみたのは「北氷洋」。本屋さんで平積みになっていました。

 

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「北氷洋」790円(税抜き)※新潮文庫

 

小説や映画のストーリーに気分を左右されてしまうタイプなので、小説ならばなるべく現実離れしていて、そしてできれば読後感がよさそうなものを選ぶようにしています。

 

帯を見ると、この小説は冒険小説のような。ワクワク感がつのります。そして冒険小説にサスペンス要素が加わっているなんて、もうこれは絶対面白いだろう!と思って即買いしました。

 

オレンジ色の上に書かれた「本年度海外エンタメNo.1」というコピーもキャッチーです。

 

カバーアートの全体はこんなでした。

 

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帆船に乗っていたような昔に、寒い海に行って捕鯨をしていた人たちの話なのだな、ということはわかりますが、サスペンス的要素は描かれていないので、冒険小説的な要素のほうが強いのかな、と思いながら読んでみました。

 

舞台は19世紀のイギリス。以前にもこのくらいの時代を舞台にした小説を読んだことがあるので慣れていましたが、慣れていないと最初はちょっととっつきづらいかもしれません。

 

この当時のイギリスは、とにかく下町がきったなくて臭く、荒くれ者が多かったみたいです。

 

「北氷洋」では物語の全体で「臭い」の描写がよくでてきますが、文字で書かれている臭いを感じながら読むと、より深くストーリーのなかに入っていかれると思います。

 

「北氷洋」に登場するのは捕鯨船ヴォランティア号に乗り込む乗組員たち。 数人にスポットライトが当てられていますが、読み進めると、そのうちの1人が主人公なのだな、とだんだんわかってきます。

 

買った時は帯から想像して、もっと冒険小説的なワクワク感のあるスリリングな物語かと思っていたのですが、ちょっと違いました。

 

船のなかで殺人事件が起きたり、その後もハラハラする箇所がいろいろ出てきて、エンタメ系小説といえばそうなのですが、最後まで読んでみると、主人公が研ぎすまされて人間としての強さを取り戻す、成長( 回復?)物語のような話でした。

 

話のなかに出てくる情景も、登場人物たちも、起きる出来事も、とても男性的です。人間同士の戦い(?)の描写も面白かったですが、主人公が大自然と向きあう、荘厳さを感じる箇所は映像が浮かんでくるような迫力を感じました。

 

ワクワク感はない物語で、「これはちょっと思っていたような小説ではなかったな」と、途中で思ったのですが、でもそれでも、このあとどうなるんだろう?と次々に気になり、一気に読んでしまいました。

 

遠い昔に遠い国で起きた、骨太な感じのフィクションを読みたい時におすすめの小説だと思います。帯の裏にはBBCで連続ドラマ化決定、とありましたが、きっととても面白いドラマになると思えます。